縦割りクラスの良さ

2月に入り、3学期も後半に差し掛かろうとしています。
ついこないだ年が明けた気がしますが、なんだかとっても早いです。

いよいよ、本日から映画 モンテッソーリ 子どもの家 が公開されましたね。(映画のご案内はこちら

欧米ではメジャーなモンテッソーリ教育。フランスでは6万人の方がこの映画をご覧になったようです。日本ではどうでしょうね。最近はご自宅でモンテッソーリ教育を取り入れる「おうちモンテ」など流行っているようなので、モンテッソーリ教育のことをご存知の方は多くなっていると思います。
それでも、「子どもの家」では何をやっているのか、ご存知の方はそんなに多くはないでしょう。
それぞれの良さはあるかと思いますが、おうちモンテや、週に1回通うお教室で2時間くらい教具を使うのとも違う、子どもの家で 毎日過ごす事 の意味を感じて頂ける映画とも思います。是非多くの方にご覧頂けたら嬉しいです。

モンテッソーリ教育をしている園では縦割保育を取り入れているところがほとんどです。
縦割り保育とは、異年齢保育とも言って、3歳から6歳が一つのクラスで構成されます。
映画の「子どもの家」でも、この縦割り保育の中で、子ども同士で学び合う姿がたっくさん出てきます。ご覧になる時は是非そんなところも見てくださいね。

梶山の一年を通してみると、当たり前かもしれませんが、3学期は、子ども達の成長が一番感じられる学期です。

より一段と自立し、皆の憧れでもあり、皆のお手本となる年長さん。
自分たちより年の下の子への接し方は本当に優しく、たくさんのお手伝いを上手にし、この環境のルールを教えます。そして下の子達は、大人が同じことをするよりもよく年長さんの言うことを聞きます。その自然な姿に、これが本当のリーダーシップなんだと気付かされます。

何もしたくない子、見てるだけの子、走ってばかりだった年少さんたちは、段々に落ち着いて、ご自分の「お仕事」に向かう楽しさが分かり、お仕事が進んでいく様子も成長として感じます。
「今日は葉の箪笥やるぞ!」と朝の下駄箱でガッツポーズのやる気と満面の笑みを見せてくれる子も。

そして何より感じるのは、年少さんを助ける年中さん達の姿です。

自分たちはもうすぐ年長さんになるんだと気付き始める子もいますが、
自分たちが良く分からなかったり、難しくて困ったりした事や、助けてもらってできるようになったり、繰り返して上達したことが年中さん達の自信となってくる時期なのだと思います。
そしてきっと、年少さんの気持ちを一番近い存在として理解してあげれるのも年中さんなんだと思います。

例えば、お仕事の時に立体パズルが難しくてお手上げの年少さんがいました。お手伝いに来た年中さんは、どんどん作っていきます。そしてもう出来るかなと思われる最後の3つだけ残して年少さんにバトンを渡していく姿。

また、お仕事で使い終わった折りたたみ式の小机の脚がしまえずに困っている年少さんに、これはこうなっているんだよと仕組みを教えながら手伝ってくれる姿。

また、お食事当番の時、年少さんの付けるエプロンのボタンを手伝ってあげたり、台拭きをぎゅっと絞ってあげるなどの準備を手伝い、こうやるんだよとやり方をゆっくりみせる姿。

毎年、縦割り保育だから見れる光景であるとはいえ、子ども達の成長を尊く感じる瞬間です。

多くのモンテソーリ教育の園では、縦割りクラスという異年齢保育を実施し、3歳から6歳の子どもたちが同じ空間で過ごします。

縦割りクラスは子ども達を成長へと自立へと向かわせるためには無くてはならない環境です。

幼児期の月齢の差はとても大きいものです。横割りクラスでの一斉活動は、早く出来てしまう子には物足りない。ゆっくりな子には難しいといった難しさが多々あります。
モンテッソーリ教育は、発達に必要な、自分自身にあった活動を自己選択していきます。
それに加え、縦割りクラスの中で、自分にはまだ難しいことでも、年上の子がやっている姿を見る事ができる。できない事を手伝ってもらう。そして、やり方を知り、繰り返してできる様になった頃、自分よりも年下の子達が入ってきて、困っていればそれを教えてあげることが出来る。それは人を思いやる心や、自分自身への自信となり、自分が誰かのためになる経験となります。


年長さんに見られる優しさや、自信や、リーダシップはこういった毎日が築き上げていくのでしょう。


社会がそうであるように、いろいろな年齢、いろいろな人と多く関わることで「人と関わる力」が育まれます。
「○○のようになりたい」と身近な人を目標とすることで、意欲や好奇心を高めます。
人と関わりコミュニケーションをとる中で、自分の思っていることを伝えようとしたり、友達の言葉に耳をかたむけることが必要ということも感じ、身につけていくものです。
人と関わり、いろいろな人がいるということを知る。
その一人ひとりを認め、受け入れることが人との関わる「力」となります。

モンテッソーリ教育は、みんな個別で好きなことをやって、社会性が育つのですか?と質問されることがありますが、こういった事からも社会性はクラスの中で充分育ちます。