自分の意志で…

卒業生にとって最後のお仕事の日のことをお話しします。


毎日のお仕事で、やりかけの物は次回に出来るように、各自の作品ボックスを用意しています。


卒業式を目前に控え、お仕事ができる最後の日の朝に、
「各自の作品ボックスに残したものがないように、今日を頑張りましょう。」とお伝えしましたところ、それぞれが時間の許す限り、まるで周りの空気を消す様に集中してお仕事しました。


できあがったご自分の本の蝶結びがうまくできなければ、蝶結びの着衣枠にもどり練習しなおしたり、
ひらがなが思い浮かばなければ、砂文字板で確認し、
暗算板が仕上がれば、訂正板で自己訂正し、
だれも先生に尋ねることなくご自分で粘り強く、実に粘り強く、何とかして先に進んでいく姿にもう胸がいっぱいになりました。



また、
「がんばったけれども、これで終わりにしたい」
と言いに来た青組さんの一人に、
「十分頑張ったから終わりにしていいと思いますよ。」
と答えましたら、
「やり残したものはどうなるの」と。
「時間はもうないので、がんばったところまでで、表紙にリボンをつけて終わりにしましょう。」と伝えました。


すると、無言でふたたび暗算板をだし、ついにすべての問題をやりとげたのでした。


人の意見はともかく自分が納得できるように、自分の意志で決めて行動する力が身についていることを、目の当たりにし、お仕事最後の日にいくつも私たちが目指しているものを青組さんにみせていただきました。

いうまでもなく、やり遂げた子どもたちは、大げさな賞賛の声がなくても、心の底からわきあがる満面の笑顔をみせていました。

次に続く子どもたちの新たな年度が始まります。

子どもたちの内なるものは、大変神秘的で、よくよく観察しないと見過ごしがちです。今年度も、新たな発見をしてまいりたいと思います。