文化教育が楽しい

梅雨が明け、本格的な夏が到来しました。梶山モンテッソーリスクールでは、1学期の最後に「夏のお楽しみ会」を実施し、夏休みに入りました。
その後は、今年は夏季保育を実施していますので、参加する園児は、いつもよりちょっとお友達が少ないなと思いながらも、いつもの「お仕事」の活動をしたり、園庭でお水を使った遊びや、夏野菜がたくさんとれる畑を楽しんでいます。

コロナ禍でもある為、今年はお出かけの機会が少ない中ではありますが、「おじいちゃんおばあちゃんのお家へ遊びに行くよ!」などお話をしてくれます。
その際、必ずと言っていいほど、そのおじいちゃんおばあちゃんの家がどこの県にあるのかを教えてくれます。それがどれくらい遠いのかなども教えてくれたりします。
梶山モンテッソーリスクールの子ども達は「地図」のお仕事が大好きで、それが現実に即していると感じるひと時です。

地球から始まり、世界の大陸を知り、日本の地方、そして都道府県を知っていきます。パズルで楽しく行っているうちに、色や形が手伝って、あっという間に覚えてしまいます。

日常生活の練習や、感覚教育をたくさん行ってから、発達段階に合わせて始まる「地図」の文化教育ですが、どの子も「あっという間に覚えてしまう」と言うのは言い過ぎかもしれません。
はじめのうちは、自分よりもお兄さんお姉さんたちが行っている憧れのお仕事なので、始まるととても嬉しそうですが、実際やってみると、何をやっているのか分からない様子や、その名称を覚える事がスムーズにいかない事もあります。
しかし、様子をみながら少しずつ段階を踏み、繰り返し繰り返し行っているうちに、どの子もあっという間に覚えてしまうのです。
私はいつもこの様子を見ていて、子ども達は、地図のお仕事を通して自分なりの「覚え方」を見つけていくのだと感じます。

スモールステップで繰り返し、自分で、その方法を見つけ出し、自分のペースで進んでいくことの楽しさを味わった子ども達は、自分の背丈よりも大きな日本大地図を創り上げます。満足そうなその表情に、頼もしさと成長を感じます。

そして、もっとやりたい!と望めば、卒園するまでの間に、他のお仕事もしながら、アジア大陸、ヨーロッパ大陸・・と、国と首都と国旗にも進む子もいます。

この夏、オリンピックが東京で開催されました。開催には賛否両論ありましたが、こんなにも世界各国が一堂に会する催しはそうありません。

ある年長さんは、「開会式を日本が出てくるまで見ていたよ!国旗を見て、アナウンサーの人が言うよりも早く国名を当てちゃった!」と。
また、小学3年生になったある卒園児さんは、「地球儀と国旗の本を置いて、お父さんと当てっこをした」と嬉しそうに教えてくれました。
地図のお仕事で知っていたからこそ、とっても楽しかったのでしょう。
オリンピックで感じたことなど、また子ども達と話すのが楽しみです。


オリンピックに限らず、どこどこの県が台風で大変だなど、自分の知っていることが、テレビやニュースで知れるのは、とても自分自身の身近なこととして感じるもので、より興味や関心を誘い、自分がどのように他と関わっているのかという視点が生まれます。


モンテッソーリ教育は一見、早期教育のように思われる方が多いのですが、何より大事なことは、子ども自身がそれらの教具を選択し、間違いがあれば自分で気付いて訂正し、自分が納得出来るまで取り組み、自分で自分を教育していくということです。
現実に即した物や、本物を扱う事で、この世界の事をよく知り、興味関心は次なる意欲を湧き起こします。
そして、乳幼児期は人格形成の土台となる大切な時期です。この土台を持って、学童期の発達段階へと子ども達は進んでいくのです。
全ての分野の教具において共通して言えることは、モンテッソーリ教育とは、一人ひとりの子どもが、その子どもらしく自立して生きていくためのプログラムであり、全ては平和教育に繋がっているということです。