ファンタジーより好きなもの

梶山モンテッソーリスクールでは、お食事の後に絵本タイムがあります。お食事が終わった子から順に絵本棚から好きな絵本を出して読みます。

本がお好きな子が多く、お仕事中もちょっとした休憩のように本を読む子もいますが、お食事の後の絵本タイムは特に皆が好きな時間です。読みたい本があるのでしょうか、お食事をあっという間に食べてしまい、後片付けもどんどん行って絵本棚に急いでいく子もいらっしゃいますし、お食事もお片付けもゆっくりゆっくりなお子さまも、終わると絵本棚に急いでいきます。

まだ字の読めない子も、絵を見ているだけでも楽しいし、一文字一文字を追う様にゆっくり読む子も。どんどんと何冊も読んでしまう子もいれば、先生が読み聞かせをするように皆が見えるように持ってスラスラと読む年長の姿も見えます。

子どもたちが選ぶ本も様々ですが、中でも人気が図鑑です。昆虫、恐竜、動物、人間、植物、乗り物などなど。重い図鑑を運んで席に着き、読めなくてもじーっと見ています。ちなみに、急いでお弁当を食べて一番に本棚に向かうお子さまのお目当ても図鑑です。各種類、1冊ずつしかないので、ゆっくり食べていたら、どなたかが見ていて見れなかった経験でもしたのでしょう。集団とは学びの場がたくさんありますね。

モンテッソーリ教育では、ファンタジーの絵本は扱わないのか?とよく質問されることがあります。しかし、そういった絵本がダメというわけではなく、低年齢の時期は想像しておとぎ話を楽しむというより、この世界の物は何か、この世界で起きていることは何かなど、現実に即した事実を知ることが子どもの発達になると考えるからです。ファンタジーばかりを与えるのではなく、事実に沿った、真実を先に与えてください。ファンタジーはその後からで十分良いのです。

ライオンが服を着て歩いている物を最初に与えるより、ライオンが群れになって歩いている姿や、子供向けの図鑑の方が、ライオンってこういう生き物なんだとインプット出来きますし、現実に見たことと、絵本で見たことがマッチしてればしてるほど、あ!本当にそうなんだ!と認識が強くなり知識がついていきます。そういった事実をちゃんと知ってから、ファンタジーにいかないと子どもは混乱してしまいます。これは幼児期でも、0-3歳の低年齢は特にそうです。ファンタジーなどは徐々に想像するイマジネーションの力が発達してくる4歳半過ぎくらいからの方がより楽しめるのです。一切ファンタジーを与えてはダメという訳ではありませんが、現実や事実に即したお話しも用意してあげたいという事です。

梶山の絵本棚にも、おとぎ話や昔話、ネズミがチョッキを着た物や、カラスがパンを焼いたり、天狗とだるまが出てくるものなどなど、昔から名作と呼ばれる作品もたくさん棚にあります。もちろんそういった本も素晴らしく、楽しんでいるお子さまもいらっしゃいます。しかし、子どもを観察していると、選ぶものは必ずしもそういったものではないという事が分かります。図鑑はどの学年も人気ですし、年少さんは、おとうさんは電車の運転士などのお話しの方が好きです。オノマトペといった音が楽しい本も人気で、言語や感覚を楽しむ姿が見れます。年中さん位になると、動物の大きさや世界一高いタワーは?のような事実クイズも人気ですし、聖書の絵本なども好きです。年長さんになると、自分でも読める子が多いので、おとぎ話も、事実に即した本もまんべんなくいろいろな本を楽しんでいます。

梶山の絵本棚にはたくさんの種類の本がありますが、発達に沿ってお子様が自分でそれを求め、選択しているのだなと感じさせてくれます。